「不合格は障害を理由にした差別だ」高知県に賠償命令 県の職業訓練選考
高知県が実施する公共職業訓練の選考で、介護職を目指す高知市の男性(61)が発達障害を理由に不合格となったとして国や県に330万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決で、高知地裁は10日、「不合格は障害を理由にした差別だ」として県に33万円を支払うよう命じた。国への請求は棄却した。
西村修裁判長は、男性が受験した介護職の初任者研修選考は定員割れしていたことや、不合格後に受講した別の研修では成績が優秀だったことを指摘。不合格について「差別意思があったとの認定を妨げない」と判断した。
また「原告にとっては人格を根底から否定されるような経験」と県の対応を非難したが「実損額は大きくなかった」として県への賠償額を33万円とした。
男性は現在、県内の施設で介護助手として働いており、判決後の記者会見で「障害者は害悪であるという誤解と偏見こそが社会にとっての障害だ。苦労が報われて良かった」と話した。
県は「主張が認められなかったことは残念。判決内容を検討して対応する」とコメントを出した。
判決によると、男性は平成25年に発達障害の診断を受けた。26年、県が実施する介護職の初任者研修を受験。選考では15人の定員に14人の応募しかなかったが、面接点が最下位とされ不合格となった。
介護職員初任者研修を受講したものの、合格できなかったとして、これを差別として損害賠償を求めた裁判がありました。
県内の施設で介護助手として働いている原告は発達障害という診断を受けていますが、
介護職員初任者研修を受講したところ、面接点が再開という理由で不合格となっています。
介護職員初任者研修についてはこれまでのホームヘルパー2級検定と違い、修了後評価が義務付けられており、
その結果で不合格になるということはあり得るわけです。
別の記事を見るとこのような記載もあります。
判決によると、介護職を目指して男性は2014年4月、同学校の介護職員初任者研修科(定員15人)の選考試験を受けた。筆記試験は受験者14人中3位の成績だったが、面接で「健康面に不安がある」などと判断され、不合格となった。男性は面接で「発達障害の診断を受けている」と面接官に説明していた。
県は障害者差別ではなく、面接での男性の様子から「第三者への加害の恐れがある」などと判断したと主張し、面接の評価は適正だったと訴えた。
だが判決は、選考で「発達障害」との男性の申告以外に病状は精査されていないと指摘。男性が「一つのことをやり続けることはできるが、別のことを言われると抜けることがある」と話した内容で臨機応変に対応できないとした県の判断について「障害を理由に必要以上に厳しい評価をした」と結論づけた。
県は「県としての主張が認められなかったことは残念。判決内容を十分検討し対応していきたい」とコメントした。
原告の主張は認められたようですが、
原告である男性は「一つのことをやり続けることはできるが、別のことを言われると抜けることがある」と自分自身でも話しています。
介護の仕事は単純労働ではなく、利用者とのコミュニケーションや判断が求められる業務でもあります。
介護職員初任者研修を修了すれば単独行動で利用者宅に訪問する訪問介護等の仕事を行う場合もあります。
要求も多様化するニーズに介護職として対応できるか、
これに関しては原告自身も能力的に問題があることを自覚しています。
発達障害があることによる差別だとしたら明らかに不当ですが、
介護職員としての能力・適正による不合格だということならば、
不合格という判断は妥当ということもできます。
その根拠として「第三者への加害の恐れがある」という県側の主張が適切なのか。
最低点とした面接の内容がわからないので判断することはできませんが、
発達障害があったとしても介護の仕事に就労されている方はたくさんいます。
介護職員の質の問題が問われており、
一方で施設・事業所は介護諸君の人材不足という待ったなしの状況にあることも、また事実です。
介護職員初任者研修に修了評価を導入したものの、
最終的は施設・事業所側が採用した人材を育成し、責任をもっていかなければいけない。
事故が起これば当然施設や事業所の責任となります。
施設・事業所の責任というのは増すばかりです。
社会全体でもっと介護の人材育成をサポートする仕組みが必要なのではないでしょうか。
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